Share this:

 明けましておめでとうございます。

 SIANのドラム担当、井ノ口です。

 去年はSIANが始まり様々な所で変化のあった年でしたが、特に大きかったのが「自分はドラマーである以前にリスナーである」と言う事を強く自覚したことでして、例年以上に色々な音楽に触れた年になりました。

 という訳で今回はタイトルの通り、前回の記事に引き続き2017年聴いたアルバムの下半期ベスト記事となります。
 去年の内に更新したかったのですが全然間に合わず、明けてからの更新で申し訳ありません。
 あまりにも下半期が豊作過ぎてラインナップを中々絞り切れず、ギリギリまで悩んでしまいました。
 入れたかったけどまだ聴き込めていない等の理由で漏れてしまった作品も多数ありますので、そちらは僕のTwitterのタグ #いのぐち聴きました の過去の物や今後呟く分を参考にして頂ければ幸いです。

 

 

 

 

┏( ^o^)┛<順番は基本的に時系列順。特にお気に入りの1曲はこの様に表記してあります。

 

 

 

 


22 『You Are Creating: Limb1』
ノルウェーのプログレバンド22による7年振りの2ndアルバム。前作Fluxは残響レコードから日本盤も発売して僕の中では超話題となったのですが、その後音沙汰なく完全に忘れていた所に突然の新譜だったので3月発売にも関わらず7月になってからリリースに気付くと言う失態をかましてしまいました。変拍子や超展開を自在に操る鬼レベルの演奏隊にQUEENを彷彿とさせる大仰なボーカル。8曲30分と言うコンパクトな作品ですが、故に22という濃厚な個性の爆発をバッチリ体感出来る一枚となっております。必聴。

お気に入り曲:「Inspec」「Staying Embodied」「You Are Creating

 


Bent Knee 『Land Animal』
昨年も紹介したアメリカのアートロックバンドBent Kneeによる4thアルバム。前作から1年足らずと言う今までにない短いスパンで新譜が届けられビックリでしたが、相変わらず予想出来ない曲展開と表現力オバケ過ぎる歌唱が素晴らしく、聴いている内に心と身体を持って行かれてしまいます。CuneiformからInsideOutにレーベル移籍した影響か音楽性が前作までの内に内に向かっていく方向から若干明快と言うか外に向かう感じになっているので、初Bent Knee体験にもオススメ。なお難解さ(略

お気に入り曲:「Terror Bird」「Holy Ghost」「Land Animal

 


Mutoid Man 『War Moans』
Cave InのギターボーカルSteve Brodsky氏、ConvergeのドラムBen Collar氏を中心とする3ピースロックバンドMutoid Manによる2ndアルバム。メンバーそのままにCave Inの浮遊感と美メロ、Convergeの重さと暴力性を兼ね備えた、元々が既に僕にとって夢の様なバンドでしたが今作はそれらプラス正統派ハードロック/ヘヴィメタル的な分かり易さ、マッチョ感も加わり最早最強!ちなみに今月来日するとの事なので見に行きます。楽しみ過ぎる!!!!

お気に入り曲:「Kiss Of Death」「Date With the Devil」「Irons In The Fire

 


The Hirsch Effekt 『ESKAPIST』
ドイツの3ピースバンドThe Hirsch Effektによる4thアルバム。一曲目「LIFNEJ」冒頭から叩き込まれる混沌の嵐に翻弄され、溜めに溜めてから放たれる激エモサビに「こいつらただ者じゃねえな」と。感触としてはSikthやTDEPに近いのですが、それらを咀嚼し自分たちの中で整理した上で滅茶苦茶に尖らせたものを出して来た様な…混沌と整頓とが美しく一体となった新しいポストハードコアとでも言いましょうか。聴いてると3ピースバンドの夢がマジで広がります。2017年最大の衝撃でした。

お気に入り曲:「LIFNEJ」「NATANS」「INUKSHUK

 


Leprous 『Malina』
ノルウェーのプログレバンドLeprousによる5thアルバム。前作The Congregationがマジでヤバ過ぎるアルバムだったので今回は本当に本当に期待していたのですが、想像を遥かに超えるド名盤が来て震えました。細部まで緻密に練り上げられた楽曲/演奏の上に、ボーカルEinar氏による問答無用の説得力を持つ歌が乗ることにより完成する唯一無二、孤高の音楽。かと言って難解過ぎる訳でもなく意外と聴き易いポイントも抑えているのでLeprous入門編に超オススメ。あと個人的に特筆したいのはBaard Kolstad氏による独創的なドラムフレーズの数々で、こんなの聴いたことねえ!ってのが結構出てきてドラマー的にもとても楽しい一枚です。ちなみにこちらも今月来日するとか。行きます。

お気に入り曲:「Bonneville」「From The Flame」「Mirage」

 


Everything Everything 『A Fever Dream』
イギリスのエレクトロポップバンドEverything Everythingによる4thアルバム。これは化けました。1stでの衝撃のデビューから7年、順調に良作を出すけどそこまでパッとしないと思っていたらここに来ての最高傑作ですよ。元々リズムにフックの多い変化球的な楽曲が得意なバンドですが今回は比較的分かり易くシンプルに踊れるナンバーが並び、しかし要所要所で大胆な展開、音使いも顔を見せつつ高低差の激しい印象的なメロディで攻める…と言う全部のせ状態。知的かつパリピ感もある稀有な作品です。

お気に入り曲:「Can’t Do」「Desire」「Ivory Tower

 


Paul Draper 『Spooky Action』
2003年に惜しくも解散したイギリスのロックバンドMansunのフロントマンPaul Draperによる1stアルバム。正直もうこの人の作品は聴けないのでは…と思っていたので一昨年EPリリースの報を聞いた時には飛び上がって喜んだものです。そして満を持してのアルバムリリース。ひねくれた曲&歌詞、メロもサビも分け隔てなく畳み掛けてくる美メロ、そしてその独特過ぎる歌声…ラストアルバムKleptomaniaの発展系とも言えるその内容は正にあの日聴きたかったMansunの続きそのもので感無量モノ。と同時に「もっと冒険しても良いのよ」とも思ったので次回作を早くも期待しております。待ってます。

お気に入り曲:「Things People Want」「Friends Make The Worst Enemies」「Feeling My Heart Run Slow

 


Steven Wilson 『To the Bone』
イギリスのスーパープログレおじさんSteven Wilson先生による5thアルバム。毎度「プログレはこうやるんやで」と言わんばかりに重厚な傑作を生み出してきたWilson先生ですが、今回はコンパクトで分かり易い「プログレッシブ・ポップ」と言っても過言ではない作品(特に前半)で攻めて来ました。あまりにもポップ過ぎる「Permanating」などはMVで当初見た時はコレ新譜大丈夫か!?と思ったものですが蓋を開けてみれば滅茶苦茶しっくりハマっていて流石としか言い様がありません。と言うかメロディセンス半端ねえ。サラッと聴けますがとにかく全ての音が気持ち良く、聴けば聴くほど癖になるアルバム。最早この人に死角はないのか。

お気に入り曲:「Nowhere Now」「Permanating」「People Who Eat Darkness

 


Prophets of Rage 『Prophets of Rage』
Rage Against the Machineの楽器隊にPublic EnemyとCypress Hillのメンバーが加わったスーパーバンドによる1stアルバム。2017年一番熱くなったアルバムと言えばコレです。言ってしまえばザックの居ないRage Against the Machineなのですがそれだけではない新しさも多々あり、過去の焼き直しでなく新譜として楽しめる作品。音も今の音になってます。とにかくクソかっこいいので四の五の言わず聴きましょう。

お気に入り曲:「Unfuck The World」「Living On The 110」「Strength In Numbers

 


The Contortionist 『Clairvoyant』
アメリカのプログレッシブメタルバンドThe Contortionistによる4thアルバム。元々はグロウル満載、演奏も激しいデスコアバンドでしたが次第に浮遊感マシマシのプログレメタルに変化し、今作は遂にグロウルが姿を消しメタル感も極限まで薄まる事で完全にプログレ/ポストロックの様相に。昔からのファンの方からは賛否ありそうですが僕としては大好物なのでほんまご馳走様ですとしか…!

お気に入り曲:「Godspeed」「Reimagined」「Return To Earth

 


Nothing More 『The Stories We Tell Ourselves』
アメリカのオルタナティブヘヴィロックバンドNothing Moreによる5thアルバム。センセーショナルな次世代ロックを聴かせた前作でメジャーデビュー、日本でまさかのVAMPS主催のフェスに出演しヤバ過ぎるライブパフォーマンスで優勝、大きな爪痕を残して行き話題になりました。今回こちら3年振り待望の新作、ドラムが変わっているからか重心が低くなった印象で、前作にあった複雑さやテクニカルな面は若干後退していますが決して悪い訳ではなく、シンプルにノリ易い場面が増えてコレはコレで滅茶苦茶かっけえのでやはり今回も優勝です。ライブ見たいのでまた来日してくれませんかね…

お気に入り曲:「Let ‘Em Burn」「Funny Little Creatures」「The Great Divorce

 


Arcane Roots 『Melancholia Hymns』
イギリスの3ピースロックバンドArcane Rootsによる2ndアルバム。マスロック/ポストハードコア/プログレ等の要素を取り入れたテクいオルタナティブロックを奏でた1stで僕の心を鷲掴みにした彼らですが今回は大きく深化、一筋縄では行かない展開と壮大な音像を手にし唯一無二のバンドに成長を遂げました。特に展開に関しては曲の最後に最大の盛り上がりを配置する事が増え、僕の中で「世界一アウトロに命を賭けるバンド」として話題に。基本滅茶苦茶かっこいいのですが最新MVが超シュールで笑いました。どこまで狙ってやってるのか…w

お気に入り曲:「Matter」「Off the Floor」「Everything (All at Once)

 


Kamasi Washington 『Harmony of Difference』
アメリカのジャズサックス奏者Kamasi Washingtonによる最新ミニアルバム。デビューアルバムThe Epicがほんまに凄まじい出来だったのですが3枚組170分超と長過ぎる事だけがネックだったのに対し、今作は30分弱のミニアルバムと敷居がグンと低くなりました。そして内容ですが最終曲「Truth」を主軸にしたコンセプトアルバムという様相で、1曲目「Desire(欲望)」から段階を踏んで「Truth(真実)」に至ると言う構成。Truthのラストでは思わず感無量になってしまいます。YouTubeではこの曲しか聴けず、これだけでも十分素晴らしいのですが是非アルバム通して聴いて欲しい作品です。

お気に入り曲:「Truth

 


GRAPEVINE 『ROADSIDE PROPHET』
20周年、15枚目のアルバムとの事で流石に力を入れてくると思いきや、いつも以上にいつも通りなGRAPEVINEで正に実家のような安心感。むしろ前作BABEL, BABELが異色だったのではないかと思える位です。GRAPEVINE比ではかなりアクが少なくするっと聴けてしまいますが、聴けば聴くほど随所に散りばめられた小技が効いてくる粋な一品。これからも着いて行きます。

お気に入り曲:「ソープオペラ」「レアリスム婦人」「こめかみ」

 


Fleshkiller 『Awaken』
ノルウェーのプログレッシブデスメタルバンドFleshkillerによるデビューアルバム。中心人物であるギター/クリーンボーカルOle Børud氏のバンドExtol(活動休止中)から地続きになったような宇宙感漂わせるメロディアスなプログレデスですが、こちらは全体的にBPM早めでスラッシュ要素が強いのが特徴です。デスボイス満載、dkdk激しい演奏の中ここぞという場面で響いて来るOle氏によるクリーンボイスのズルさがマジで半端なく、この手のジャンルが苦手な方も是非一度お試し頂ければと思います。(余談ですがOle Børud氏はソロで何度か来日しておりそちらはお洒落なシティ・ポップだったりします。このギャップよ)

お気に入り曲:「Parallel Kingdom」「Wisdom」「True Image

 


Girls In Hawaii 『Nocturne』
ベルギーのインディーポップバンドGirls In Hawaiiによる4thアルバム。「Nocturne(夜想曲)」と言うタイトルにふさわしく、ドリーミーでダウナーな空気感を醸し出す夜にぴったりな作品です。と言うか彼ら史上最高傑作と言っても過言ではないと思うのですが全然話題になってなくて悲しみ。まあAmazonでCDの取り扱いがなく、iTunesもしくはApple Music位しか聴く手立てがない時点でお察し状態ですが…。1曲目「This Light」冒頭から名盤オーラ出しまくってるのでとりあえず皆さん聴くのです……

お気に入り曲:「This Light」「Cyclo」「Walk

 


coldrain 『FATELESS』
日本のラウドシーンで最も注目すべきバンドcoldrainによる5thアルバム。これは最高傑作を超えた何かですよ。演奏力の向上、凝った曲展開、過去最高のメロディのエモみ等々、何を取ってもネクストレベルに到達している…!アルバム出す度に進化して来ましたが今回マジで化けましたね。激しい曲はもちろん「STAY」「Uninvited」などスケールの大きい曲も新機軸として上手く機能しています。2月の武道館公演も納得の一枚。

お気に入り曲:「ENVY」「FEED THE FIRE」「STAY

 


syrup16g 『delaidback』
syrup16gフロントマン五十嵐隆が溜め込んでいた、これまで音源化していなかった過去の名曲群を集めた最新アルバム。いやもうこんな物良くない訳がない訳で。復活後シロップ、特に前作darcを聴いて正直もう駄目かと思っていた所にコレですよ。復活後の作品で一番良いのが過去曲のアルバムと言うのはアレかも知れませんが、純粋に音源化してくれた事に対する圧倒的感謝の気持ちで一杯です。あ~良い…

お気に入り曲:「赤いカラス」「upside down」「変拍子」

 


Polaris 『The Mortal Coil』
オーストラリアのメタルコアバンド、Polarisによる1stアルバム。オーストラリアには外れがない印象ですがコレはマジでヤバイバンドが出て来ました。卓越した演奏力にメロディセンス、絶妙な聴き易さとオーストラリアのバンド特有のスケールのデカさが合わさって最強。1stにして天下を取った感isあります。今後要チェックですよ。

お気に入り曲:「LUCID」「THE REMEDY」「CONSUME

 


in NO hurry to shout; / SILENT BLACK KITTY 『ALICE -SONGS OF THE ANONYMOUS NOISE-』
TVアニメ「覆面系ノイズ」の主題歌及び挿入歌を集めたアルバム。ここに来てまさかのアニソンですが、ほとんどの楽曲を特撮/COALTAR OF THE DEEPERSのNARASAKI氏が手がけているので僕がチェックしない訳には行きません。劇中バンドin NO hurry to shout;によるナンバガ等を彷彿とさせる焦燥感あふれる楽曲、アニソンらしからぬ攻め加減が本当に素晴らしいのですが、何より特筆すべきはボーカルを務めている声優、早見沙織氏のヤバさ。普段絶対こんな歌い方しないだろうと思われるキレッキレの歌唱、役に入り込んでの物だとは思いますが上手いとかそう言う次元ではない何かを感じます。特にボーナスCDの「カナリヤ」ライブVerはマジでシビれました。作曲はTRUSTRICKのBilly氏、歌は歌唱力オバケ声優の高垣彩陽氏によるSILENT BLACK KITTYの楽曲も凛として時雨ミーツschool food punishmentと言う感じで超絶好みでして、2017年ラスト大満足の一枚でした。

お気に入り曲:「パラレルライン」「FALLING SILENT」「カナリヤ-LIVE at SHIBUYA WWWX-

Share this:

0 1.26 K

CAPTCHA